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2008/01/11 (Fri) 克哉×御堂

以前も御克でさっきも御克だったので、今回は克哉×御堂です。

一応テーマを年上と年下ということに無理やりしました(笑)…後付です、後付!

お暇でしたら追記をどうぞ。


「乗れ」
「は?おい、こら…!」
いきなり克哉が会社の前に現れ、強引にドアを開ける。
驚きながらも抵抗する御堂を有無も言わさぬ力で助手席に押し込み、シートベルトを締めた。
すぐ耳元で騒ぐ御堂の口からは「やめろ」だとか「自分で締めれる」だとかそんな言葉を浴びせられたが、克哉は一向に気にしないといった調子で暴れる御堂をシートへ座らせると自分も運転席へとすぐさまおさまった。
そのまま無言でアクセルを踏み込み、車を走らせる。
「…おい、何処へ連れて行くつもりだ」
さながら誘拐犯のような段取りで車に乗り込まされた御堂の表情は不機嫌極まりない。じっとりと無言で運転をする克哉を睨むが当の本人はその視線もろとも言葉を無視して真っ直ぐ走る道路を見つめていた。
御堂はそんな克哉の態度に何を言っても無駄だと早々に気付くとこれ見よがしに大きなため息を吐く。横目で覗くウィンドウの向こうは街灯が灯り、既に夜が迫ってきている事を御堂に伝えた。
ぼうっとその光りを追いかけていると段々と眠くなってくる、もともと運転が上手いだけに克哉の車はなだらかに静かに走る。暗い車内を照らし去るヘッドライトと街灯の柔らかい光りに御堂の意識は揺蕩う波のように現実と夢の中でゆっくりと揺れていた。

「着いたぞ」
いつの間にやら御堂は眠っていたらしい。
克哉が起すようにその言葉を呟くと、一人車を降りた。
その時開いたドアの隙間から風が吹き込む。冷たく、そして独特の匂いをのせた風。
「…海か」
今だぼんやりと目覚めきる事のない思考であるが、目の前に広がる真っ暗な海と波の音でゆっくりと合点がつく。
もう一度吹き込んできた夜風にぶるりと体が震えて、眠気が一気に醒める思いだった。
黙って外に立っていた克哉は閉め忘れていたドアに気付くと、ばたんと後ろ手にドアを閉める。その音で何故か急に心許無くなった御堂が克哉を車内から見上げようとしたが、車体を背に寄りかかる所為で克哉の表情は見えなかった。
だから自分もシートベルトを外し、車から降りる。その音に気付かないのか、克哉はじっと海を見つめながら静かに紫煙を吐き出していた。
「佐伯…」
声をかけることが躊躇われるような雰囲気だったが、御堂には関係がない。なんせ勝手に自分を連れ出しこんな所まで連れてきたのだ。その自分が何故相手に気が引けるんだ。
そう思うのだが、御堂の口から出た声は余りにも小さかった。
その声に気付いたのか克哉がこっちを向く。珍しく、普通に笑っていた。
潮風に吹かれ、克哉の髪が靡く。それと同時に煙草の火が微かに揺らいだ。
その瞬間またあの心許無さを感じた。思わず駆け寄り克哉の腕を掴む。
「どうした?」
この波の音の所為なのだろうか。克哉の声は酷く優しい。
「あ…、いや。…寒く、ないのか?」
自分の行動が恥ずかしくなり俯いた御堂はそっと克哉の顔を伺い見た。
「ああ、確かに寒いな」
御堂の問いに苦笑を浮かべまた紫煙を曇らす。
少しだけ普段通りの姿にほっとした自分がいた。
「じゃあ、もう車に入れ。帰りは私が運転してやる」
ここが何処だかはわからなかったが、今のご時勢カーナビという便利なものがある。それにそんなものなくとも標識か何かがあれば自宅へ帰ることぐらい造作もないだろう。
そう考えながら、克哉の前を横切り御堂が運転席のドアに腕を伸ばした。
「御堂…」
その腕を掴まれた。それも痛いくらいに。
「っ佐伯、なんだ痛いぞ」
その強引さに眉を顰めた御堂が勢いよく後ろを振り返った時、口を塞がれた。
「ん…ぅう」
強引さをそのままに身勝手に歯列を割り、舌を絡ませてくる。
いきなりの事に一瞬思考が止まった御堂だがすぐさま克哉の頭を引き離そうと掴んだ。
「や…、め…ぁ」
大きく口を開かされ口腔を舐め上げられる合間に抗議の声を上げるが一向に止めてなんてくれなかった。
自分の目の前には佐伯とその後ろに暗い海が広がっている。
後ろから車が近づいてきた。そのエンジンの音からかなりのスピードだという事はわかったが、こんなところ見られたくなどなかった。
「さ、えき…っ!」
ぎゅうぎゅうと思ったよりもずっと柔らかい髪を引っ張り引き離そうとするが、駄目だ。
段々と近づくエンジン音に御堂はぞっとするのと同時に酷く興奮する。
ぱっと自分達の周りが照らされ、克哉の顔が明るくはっきりと御堂の瞳に映った。
しかしそれも一瞬で、すぐさまエンジン音は遠ざかり、また暗い闇が広がる。
「あ…!」
強く体を押さえ込まれ、背にする車体が揺れた。
克哉は喋らない。それでも熱い手のひらが御堂の頬を撫で、首筋を辿るのに御堂はじんと頭が痺れた。
酸欠の所為かもしれない。まるで酩酊したときのように克哉のキスに溺れながら、御堂はゆっくりと力を抜いた。
冷たい車体に背中を完全に預け、克哉の頭を引き剥がそうとしていた腕は今ではしがみ付くように、自分の元へ引き寄せる。
「克哉…」
ゆっくりと名を呼んでやる。髪の毛に差し込んだままの掌を愛おしそうに撫で回しながら、御堂は克哉の名を呼んだ。
背に回る腕の力が強くなる。これ以上ないと言うほど体を密着させ、互いの唇を貪った。
「孝典、孝典、孝典…」
呼吸を吐くのと同じような感覚で克哉も御堂を呼ぶ。
もう波の音さえも掻き消すように、自分達に聞こえるのは互いの名と、荒い息遣いだけだった。



テーマが年上年下なので、克哉さまには不器用ながらも御堂さんに甘えていただきました。
御堂さんも年上らしく、渋々ながらも克哉の我侭を許して甘えさせてやるというとこを書いたのですが…上手く伝わるでしょうか…。文章って難しい…っ!
皆さん、こんな気弱ーな克哉さまでも平気ですかね…?


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Author:endo マメ
鬼畜眼鏡に大ハマリ中の腐女子です。
日々隠れとして生息しているので、日記がえらい事になるかもしれません。
カプはどれも大好きなんで、小説は色々と書き散らかしています。
克哉も御堂も本多も片桐さんも秋紀もMr.Rだって好きです!
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